なみだ

なみだ
最後の砦にいる一人の男が
なみだをながした
運ばれてきた
命の欠片を前に
余りに無力であったから
幾通りの術を身につけたが
いつまでも不安は消えない
それは時おり遭遇する
命の欠片によって
しかし、誰も彼を責めない
それはみんな、
彼が出来る限りのことを
しているのを知っているから
それはみんな、
彼の悲しさを知っているから
みんな、
静かにそっと
心の奥で泣いているのだ
消えてしまったその欠片と
縁と彼と。
そして、夜が明ける。

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