うそぶく人

沢山の人がいて
それぞれの悲しみと喜びを持って
名も知らぬ誰かは
やはり名も知らぬ誰かと待ち合わせ
そんな光景に無関心な
その他大勢の中の一人になった
同じ電車に乗る奇遇に見合わせた
見知らぬ人は
そんな奇遇に関せず
誰かへの祈りに没頭している
目の見える範囲にある限りない選択肢は
夢のまた夢のまま
一駅を通り過ぎるごとに
さやさやと通り過ぎていく
それぞれの人にその人の幸せ
それぞれの人にその人の悲しさ
それらをすべて分かち合うのは不可能なのだけれど
それらにすべて気付くことは難しいのだけれど
見知らぬ人
名も知らぬ誰かが
己と同様に
形式は様々かもしれぬが、
色んな幸せや悲しさを感じていると慮る
そうしてガタガタと揺れる電車の中で
存ることの力強さを感じる一人
それは我がままな妄想かも知れないし、
深いところにある連関なのかも知れない
最も伝えたいのは、
その描写とうそぶく人の存在である

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