獲得と喪失

片足立ちの詩人は
海面に顔を出すクジラの上に
一休みするカモメを
海岸にちょこんとたつ家の窓辺から
望遠鏡で覗き込む
その傍らには
妻がいれた温かなコーヒー
コーヒーは香って、
いつかの記憶に似た情感が漂う
その雰囲気に気を取られると
クジラもカモメもいなくなって、
望遠鏡も手元からなくなった
一瞬の喪失感の後
片足立ちの詩人は
コーヒーを忘れた

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