竜と土砂降りあるいは死

もしも今
高いビルから落ちる途中で
もうすぐ地面に激突し
体がぐちゃぐちゃになると
分かっているとしても
そのいずれやってくる死に
怯えずに
愛を知らない子に
愛を伝える事が出来るか
もしも今
道をいく車の音が
聞こえぬほどの
雨が降る中
傘を持たずに
僅かなスペースを利用して
雨がやむのを待っているとして
雨に濡れる事を
露ほども気にかけず
貴方に会いにいけるか
もしも今
誰かに愛を伝えるにあたって
その人が自分をばらばらにし
断片を弄び
それらを爆死させようとしているとしても
己の中に存在する
愛や救いたいという気持ちを
みつめる事が出来るか
外は晴れ
心は土砂降り
己の存在は
今にも消えそうなほど
弱々しく小さく
雨の音や地面に叩き付けられる恐怖
相手に殺される恐怖をみれば
心に眠る
大切な気持ちは
みえなくなるが
そういう怖れを一度忘れれば
確かにそこに
愛したい、
救いたいという気持ちが
体を充たしている事に気付く
その気持ちの在処を
見つける事が出来れば
心に眠る竜に
出会える事が出来たなら
傷ついていて
横たわっていた小さな竜は
また、大空を飛べる様になる
それはつまり
もう地面に叩き付けられないし、
雨もはらす事が出来るし、
何にも負けない力を
持つという事だ

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