ぬけ殻

階段を上っていく途中
片方の足を持ち上げて
次の段に降ろす
今まで登ってきた私を
おきざりにして
次の一歩を踏み出した
いくつかの誘惑に
縛されていた私の中に
新しい私の意識が生まれる
その芽はふっと息を吹きかければ
すぐに消えてしまって
そういうものが存在した事すら
覚えていられないような
まだ、小さなものだけれど、
ここに在る私を
「私」が殺さないようにすれば、
意思に満ちた
新しい意識に、確かに気づく
生活のクレバスにある
新しい世界に
足を踏み入れると
体の中に在って
眠っていた私が
目を覚まして、産声を上げる
履歴に満ちていた
個別的な世界は
一歩を踏み出す事で
回帰と再生、再構成の混じった
ミルクの中に
ぼとんと落ちて溶ける
浮かび上がった
蔑視の抜け殻は
湯気になって、きえた

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA