やさしさ

何かが足りないなあと
自分の周りを見渡してみても
何が必要なのか分からない
面白そうもの
楽しそうなもの
きらきらしたもの
ときめきそうなもの
そういったものを
探していって
触れたり嗅いだりしても
結局
元の木阿弥
いつしか時は過ぎ
周りの人たちは
知らぬ間に
その人それぞれの
幸せを手に入れていた
一番それを求めていたのは
自分のはずだったのに
それを手に入れていない自分は
少数派になってしまった
幸せを探す旅を
あんなに真剣にやっていた
自分だったというのに
あーあと思って
何気なく自分の手をみると
知らぬ間に爪は伸びて
手のはりは無くなっていた
鏡をみると
小さな頃に毛嫌いしていた
みじめな大人の姿が
そこにはあった
ライオンは訝しがる
なぜそれに気づかないのかな
カエルはうなずく
前ばかりみているからだよ
はくちょうは諌めて
頑張っていたのだけれどねえ
木々は笑って
くすくす
そういう声を聞いて
その人は
くるりと回って
あーあ、嫌になっちゃうなあ
と言いながら
ぱたりと倒れ込んだ
倒れ込んだ
その人の目の前にあったのは
幾千の星と
夜の静かな優しさでした

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