花飾る人

昨日完成させた絵は、
愛着や喜びを与えてくれる
だが同時に
視線は次に向かっていて
また、
良いことを思いつきたい
そういう気分で日々を過ごす
欠乏しているからではなく
むしろ、
満たされているから
一瞬ずつ進む雰囲気
晴れていても、曇っていても
雨や雪が、降っていても
ふとしたときに目に止まる
美しく可愛いらしい花々を
さりげなく部屋の隅に
飾っていてくれる人の
心遣いを

day by day

日々浮かぶ
言葉の中にどれくらい
誰かのための言葉があるか
あるいは、自己のためにも
一番いけないのは
ただ意図なく、再生される言葉
単に誰かの共鳴箱であってはならない
自身の想いや願いにフォーカスを
流れる河と共に暮らすのは
創意工夫をしている人達であって
河自身ではないのだから
人や子供、
夢、未来を想うことへ

きれいごとの最中に
笹の葉を掬いとろうとする手が
忍び込み、あるいは差し込まれても
ただ想い続ける

時には、息を整えじっと座って、
その後のほっとした瞬間に
避難したりしながらも
ただ想い続ける

未踏

道具や標語ではなくて、
ただのpassionによって駆動され
形作られるもの
計画的に意図的に
安定した生産ラインにのって卸される
そういうものとは無縁の形式
不安定が美徳で
けれど、それは規範ではなく
あくまで結果で
信じられるものは
その人の真心
ゲームの勝者になりたいとか
ルールに適応してみたいとか
そんな言葉は
味気ないから
そっけなくて
ただ
それをやりたい
それをつくりたい
それになりたい
もはや結果は問題でなくて
どうしてそれをやりたい?
どうしてそれをつくりたい?
どうしてそれになりたい?
とか、理由付けは野暮なもの
そうして行き着く先は、未踏

発火点

生き急いだ先に待つのは、
行き止まりではない
次のゴールと
そこへ向かうための
何度目かの、
スタートがある

分け入った先に
更なる山をみた先人がいるように
達することで、
私たちは、
どこにも、だれにも、
強制的に歩みを止められることはないし、
その必要もない

進みたい、
進めたい、と思う熱情は、
予定調和の外に
行くための資格で、
手に入れた地図や
昨日作った旅のしおりは、
むしろ枷なのかも知れない

歩き疲れた体や
後ろ髪を引く、
時折届く手紙もあるが、
どういう状況においても、
思い続けること
それ自体が、
発火点

人間同士が尊重し合う
そんな基本的なことを
ただ望むのが
贅沢な社会で
雨が降り、
土砂が混在した
水の流れの中にも
清んだ流れは
確かに存在して
手入れの行き届いた
苔の庭

そういう苔に魅かれる
想像の中で
塵を掴むよりも

苔は偉いんやで

残渣

新しいことを知るために
滞ることを恐れて
気づかずに進む路の途中
ふと、清流を眺めてみれば
笹の葉に乗る記憶

子供の時に観た
おとぎ話にも似た
状況と感傷が
一瞬の風と共に巡る

ありふれた話だろう
だが、残渣は苦い

曇りの日も
晴れの日も
雨の日も

だがそれも、
振り返っているのではなく、
前を向いている

芽吹き

限られた時間の中にも
ライオンのたてがみは、
はえていて
サバンナの正午に
風は吹く

久々の食事と
日光浴に喉を鳴らし
仰いだ空は広く

完全には定まらない場所で
例外のないものを
求め歩いて、
大移動

一歩も歩いていなくとも
内なる宇宙は
少しずつ定まっていて
しかし同時に
拡がっていて

季節が巡り、
こちらでは、春が咲く

ここから

通ってきた道の景色が
栄光を思い出させて
幻惑するのなら

そして、今日できること
それをおろそかにしてはいけない

火の勢いは
人の一生に比しては長く
人の命は、
それより短い

打ち寄せる波のように
絶えず呼吸はあって、

いつでも始まりは
今日、ここから

よける、見送る、行く

轍に沿って
歩いていて
前からきた
たおやかな風のために
体をよける

風は何も言わずに
通り過ぎて
私はただ
後ろ姿を見送る

強情を張れば
別れただろう

掴もうとすれば
避けただろう

振り返って
前を向き
ありのままの姿を
心に刻み
再び私の道を行く

無限、遥か

与り知らぬところで
物事は動き
不意の大波が巡る
それに耐えるための
余力と備え

僅かずつ兆候は
紛れていて
何事もないように
取るに足らない出来事であるように
ただ葉が一枚落ちた”だけ”に
みえることも
事実は異なって

有限に見繕う
無限、遥か

太陽に隠れてみえない
夜空を想って
伏す